消費者の操作ミスの救済

これまで

「1個」と入力するところに間違えて「11個」と入力してしまうなど、操作ミスによる意図しない申込(契約)をしてしまう「意図しない契約」については民法で無効になるが、現在の民法では「消費者に重大な過失がある場合」は契約が有効であるとされています。

そのため、操作ミスは「消費者の重大な過失」とされてしまうことがほとんどでした。

これから

申込内容などの意思確認をするための適切な措置を設けていない場合

  • 操作ミスによる契約を無効とする

申込内容などの意思確認をするための適切な措置を設けている場合

  • 消費者の操作ミスとし、契約は成立する

注意点

対象となる契約

電子的な方法で締結された契約のうち、以下の条件に該当する契約が対象です

  • B2C(オークションなどは対象外)である
  • 消費者の意思表示がパソコンなどを用いて送信される
  • 事業者の設定した画面上の手続きに従って行われる

内部にCPU(中央処理演算装置)を有する機器一般が対象なので、携帯電話は勿論、コンビニ等に設置されているキオスク端末も、もちろん対象です。また、電子モールなどの管理者が、出店社から委託を受けて運営している場合の契約も対象となります。

消費者自身が申込内容を自由に入力して送信するような、通常の電子メールなどによる申し込みは対象外です。

消費者の具体的な行動例

  • 申込み内容を入力せず、「申込をするか否か」だけを問うような画面で、誤って申込ボタンを押下してしまった場合
  • 申込内容を入力する画面で、「1個」と入力しようとして、誤って「11個」と入力してしまった場合

事業者が設置する確認措置

あるボタンを押下することで、申込の意思表示を消費者が明らかに確認することができるような画面を設置すること

  • 例:商品Aの画面にて「購入ボタン」を押下したとき、「商品Aを購入しますがよろしいでしょうか」などというメッセージが表示される画面を用意する

最終的な意思表示となる送信ボタンの押下前に、申込の内容を表示し訂正できる機会を与える画面を用意すること

  • 例:「以下の内容で申し込みます」という文章と申込内容すべてが記載され、「送信ボタン」と「前に戻るボタン」が設置されている画面を用意する

その他

事業者が

  • 確認措置のある画面
  • 確認措置のない画面

の2つを用意しており、消費者が「確認措置のない画面」を選択したときは、この法律に当てはまりません。

ただし、「確認措置のある画面」が標準で表示される場合に限ります。標準で「確認措置のある画面」が表示されない場合は、対象外です。

参考