[Slash-interview-wiki 143] JimmyWales

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hayam****@users***** hayam****@users*****
2004年 11月 7日 (日) 10:26:58 JST


 [[すらっしゅどっと翻訳部]]
 
 *目次
 
 #contents
 
 *Wikipedia 創始者 Jimmy Wales の回答
 [[原文:http://interviews.slashdot.org/article.pl?sid=04/07/28/1351230]]
 
 **序文
 
 Wikipedia は素晴らしいプロジェクトです。そして、Wikipedia 創始者である Jimmy Wales へのスラッシュドットの読者の質問 -- あなた方が投稿した中の最も高くモデレートされた12個の質問への Jimmy Wales の回答 -- もまた素晴らしいものです。
-<a name="Q1"></a>
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 **1) Donations - by southpolesammy
 1) 寄付 - by southpolesammy
 
 What's the current state of donations and what is the future of Wikipedia if fund raising without advertisements does not increase?
 
 現在の寄付の状況はどうですか。また、広告無しの資金調達が増加しなかったらWikipediaの将来はどうなりますか。
 
 Jimmy Wales:
 
 We are always in need of funds for hardware. I still cover the bandwidth and hosting charges, and will do so for the foreseeable future, but we rely on community donations for the hardware that we need to run the site.
 
 われわれはいつもハードウェアのための資金に困ってる。ぼくが今でも帯域とホスティングのための費用を出していて、当面はそうしていくつもりだけど、サイトを運営するのに必要なハードウェアに対しては、コミュニティからの寄付に頼っているんだ。
 
 Our growth rate continues to be staggering.
 
 われわれの成長率は驚異的に伸びつづけている。
 
 --われわれの成長率は驚異的な数字を示しつづけている。
 --われわれの規模は驚異的に伸びつづけている。
 
 One of the reasons I was excited to be asked by Roblimo to do this interview is that the slashdot community in particular has been so generous to us in the past. This is an audience that understands the importance of what we're doing, the importance of spreading the idea of GNU-style freedom far beyond the free software community.
 
 Roblimo がこのインタビューで質問してくれることになってうれしかった理由の一つは、とりわけスラッシュドットのコミュニティは以前われわれに対して気前よさを示してくれていたことだ。ここの読者たちは、われわれのやっていることの重要性を理解してくれて、GNUスタイルの自由という思想がフリーソフトウェアコミュニティをはるかに越えて広がっていくことの重要性を理解してくれている。
 
 --Roblimoからこのインタビューを持ちかけられてうれしかった理由の一つに、これまでわれわれに対してとりわけスラッシュドットのコミュニティが気前よさを示してくれていた、ということがあるんだ。
 ---「be asked to do...(...するよう依頼される)」→「...を持ちかけられる」と軽めの表現にした。
 
 Anyone who would is interested in donating money to help, please visit the site to see how we use the money.
 
 援助のための資金を寄付することに興味がある方は、どうかサイトを訪れて、資金がどう生かされているか確かめてほしい。
 
 --援助資金の寄付に関心を持っていただけるなら、どうかサイトを訪れて、資金がどう生かされているか確かめてほしい。
 --支援のための献金に関心を持っていただけるなら、どうかサイトを訪れて、資金がどう生かされているか確かめてほしい。
 ---上記変更案では「(どなたか)...に関心を持っていただける(方がおられる)なら」という端折り方にした。「donating money to help」は、どういう言葉が自然なのか迷った。
-<a name="Q2"></a>
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 **2) Advertising? - by obli
 2) 宣伝? - by obli
 
 How has the word about wikipedia been spread? Has wikipedia actually paid a dime for all its publicity? I don't think I've seen any advertisement when I think about it.
 
 wikipediaについての噂はどのように広まってきましたか。wikipedia は宣伝のために実際にお金を使ったことがありますか。広告があったかどうか思い返すと、私は広告を見た覚えがないのですが。
 
 Jimmy Wales:
 
 No, we don't pay for publicity, never have and most likely never will; it hasn't been necessary, and I don't see that it will be necessary.
 
 うん。われわれは宣伝にお金を払ってない。今までに払ったこともないし、十中八九これからも払わないだろう。広告は必要じゃなかったし、また必要になることもないと思う。
 
 The key is that we're doing exciting and interesting things, showing what is possible to a community project running free software and working under a free license. Nowadays everyone knows that excellent software can be written using the principles of free licensing, and we're proving that the idea of sharing knowledge is powerful in other areas as well.
 
 大事なのは、われわれが興味深くて刺激的なことをやっていて、それによって、フリーソフトウェアを使ってフリーライセンスのもとで活動するコミュニティプロジェクトに何ができるのかを示しているということなんだ。近頃は、フリーなライセンスの原則を用いて素晴らしいソフトウェアを書くことが可能だと誰もが知っているけど、われわれはさらに、ほかの領域でも知識の共有という考え方が人を動かしうるということを証明しつつあるんだ。
-<a name="Q3"></a>
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 **3) Complement or Competitor to Traditional Encycs by ewanrg
 3) 従来の百科事典に対する補完なのか競合なのか - by ewanrg
 
 Was wondering if you view the Wikipedia as a competitor or an additional tool compared to a World Book or an Encyclopedia Britannica?
 
 Wikipedia は、World Book や Encyclopedia Britannica と比べたときに、競合する相手だと考えていますか、補足する手段だと考えていますか。
 
 Jimmy Wales:
 
 I would view them as a competitor, except that I think they will be crushed out of existence within 5 years.
 
 ぼくはそれらの百科事典を競争相手と見なしたい。5年以内にはそれらは存在しなくなっているだろうという点を除いてね。
 
 Software is unique in that there are network externalities and various other mechanisms of "lock in" that make it hard for us to get people to switch to free alternatives. People are very comfortable with Microsoft products, and they fear that if they switch, they'll give up all the skills that they've learned (ctrl-alt-del!) and won't be able to share files with others.
 
 ソフトウェアがほかと違っているのは、ネットワークの外部性をはじめとする、無料の代替物への移行を難しくする各種「束縛」作用があるという点だ。人々は Microsoft の製品にとても満足していて、もし乗り換えたらそれまで習得してきた技術(ctrl-alt-delとかね!)をすべて捨てて、他人とファイルを共有できなくなるんじゃないかと恐れているんだ。
 
 But the things our community is producing are different. There's no cost to switching from an outdated old encyclopedia to Wikipedia -- just click and learn, and there you go. You can switch before your friends switch, but the knowledge you learn will be perfectly compatible.
 
 でもぼくたちのコミュニティが作っている物は違う。時代遅れの古い百科事典から Wikipedia に乗り換えるコストはない。ただクリックして読むだけで、望みのものが手に入る。友達が乗り換える前に自分が乗り換えることも可能なのに、新しく学んだ知識は完全に互換性がある。 
-<a name="Q4"></a>
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 **4) Quality Control - by Raindance
 4) 品質管理 - by Raindance
 
 First of all, the concept of a community-built encyclopedia, open to submissions and revisions from users, is wonderful. It's much like open-source, in fact, and Wikipedia certainly exemplifies how to reapply the OS model to other contexts.
 
 まず最初に、ユーザーからの投稿や校正をオープンにするコミュニティ製の百科事典というコンセプトは素晴らしいと思います。これは実際、オープンソースにそっくりだし、Wikipedia はOSモデルが他の文脈にも適用できることの本当に良い例となっています。
 
 However, the contexts of encyclopedias and software are different. Significantly so. I'm interested specifically in quality control- you know when code doesn't work when it doesn't compile or results in unexpected behavior.
 
 しかし、百科事典の事情とソフトウェアの事情は違います。はっきりと違います。私が特に興味を引かれるのは品質管理です。ご存じの通り、コンパイルできないコードや結果が未定義のコードは動作しません。
 
 --コードが動作しないとき、コンパイルできないとき、予想外の挙動を示したときにはそれに気づきますよね。
 --コードがまずいときには気づきますよね。コンパイルできないときとか、予想外の挙動を示したときとか。
 ---原文が原文だけに確信が持てないけど、上記のような意味かも、と思いました。
 
 In what ways can a Wiki article be bad, and how can one tell? Do you think QC is a large issue for Wikipedia, and do you have any plans to further integrate the community in the QC process (perhaps akin to the slashdot moderation/metamoderation system)?
 
 Wiki の記事はどういう場合に品質が落ちますか。そしてそれはどうやったらわかるのでしょう。品質管理が Wikipedia の大きな問題であるとお考えですか。品質管理プロセス中にコミュニティを一段と深く組み込んでいく(たぶんスラッシュドットのモデレーション/メタモデレーションシステムと似たようなものになると思いますか)予定はありますか。
 
 Jimmy Wales:
 
 Well, encyclopedia articles can be bad in a lot of obvious ways, and some subtle ways. Obvious ways include simply incorrect information, or grammatical errors, or strong bias. Subtle ways can include milder forms of bias, dull writing, etc.
 
 そうだね。百科事典の記事の品質が低いというときには、明らかに目に見えるケースがたくさんあり、はっきりととらえにくいケースがいくつかある。はっきりしているケースには、単純に間違った情報や、文法の間違い、強い偏見などが含まれる。微妙なケースとしては、軽度の偏見や、さえない文章などが含まれるだろう。
 
 Quality control is what a lot of our internal processes are all about. Every page on the site shows up on Special:Recentchanges, and individuals have 'watchlists' that they can (and do) use to keep an eye on particular articles.
 
 品質管理は、数あるわれわれの内部作業の全てだ。このサイト上の全てのページは "Special:Recentchanges" に現れ、個人ユーザーは、特定のページに目を光らせるのに使える(実際使っている) 'watchlists' を持っている。
 
 I am currently working on a first draft proposal to the community for our "next phase" of review, which will involve getting serious about producing a "1.0 stable" release. The concept here is very analagous to that in the software world -- the existing site is always the cutting edge nightly build, which rocks of course, but we also need a stable release that's been reviewed and tested and found good.
 
 ぼくが今取り組んでいるのは、校閲の「次なる段階」についてのコミュニティに向けての最初の試案作り。バージョン "1.0 stable" リリース実現に真剣に取り組むのに必要となるものだ。このコンセプトはソフトウェアの世界と非常に類似している。現在のサイトは常に最新の nightly build であり、もちろん流動的なものだけど、校閲と検証が済んで品質が確認された安定性のある版を公開することも必要なんだ。
 
 I'll put out that draft in a couple of weeks, and get feedback and revisions from the community, and then we will hold a project-wide vote.
 
 その草稿は2週間以内に公開し、コミュニティからフィードバックと修正を受け、そのあとでプロジェクト全体の投票を行う予定だ。
 
 That process might involve some bits that are like the slashdot moderation/metamoderation system, but it's likely to be much more of an editing-oriented process than voting-oriented process.
 
 このプロセスは、いくらかスラッシュドットのモデレーション/メタモデレーションのようなシステムを伴うかもしれないけど、おそらく投票指向の手順というよりはむしろ編集指向の手順になるだろう。
-<a name="Q5"></a>
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 **5) How to balance coverage? - by mangu
 5) 対象のバランスをとるには? - by mangu
 
 Is there an effort to get articles written on specific missing topics? If one looks at a commercial encyclopedia, the full range of human knowledege is covered. On Wikipedia, OTOH, one finds several articles about slashdot trolls, for instance, while other (important) fields are still unwritten.
 
 特定の欠けている話題についての項目を書いてもらうための取り組みは何かしていますか。市販の百科事典を調べると、あらゆる種類の人間の知識についてカバーされています。一方 Wikipedia では、たとえばスラッシュドットの荒らしについてのいくつかの項目は見つかるけれど、他の(重要な)分野は未だ書かれていません。
 
 -- 一方 Wikipedia では、たとえばスラッシュドットの荒らしについての項目がいくつも見つかります。未だ書かれていない他の(重要な)分野もあるというのに。
 
 Jimmy Wales:
 
 This is increasingly a solved problem. It is true that we have quite a bit of pertinent information about slashdot trolls, but we also have just about every important topic as well. Of course some areas are in greater need than others, and finding them and resolving them is an ongoing effort in the community.
 
 この問題は、次第に解決されつつある。確かに、スラッシュドットの荒らしについての適切な情報がかなりたくさんあるけど、全ての重要な話題についても同じことがいえる。もちろん、他の領域に比べて不足しているものが多い領域もあるけど、それを見つけて解決していく取り組みは、コミュニティ内で現に進行中だ。
 
 I think you'd be pretty hard pressed anymore to find topics that are in Britannica that we don't cover at all. It's still not that hard, if you look around a bit, to find rare articles in Britannica that are better than our article on the same topic. But it's getting harder all the time.
 
 思うに、Britannica に収録されていてわれわれが全くカバーしていない項目を見つけるのは、もはやかなり苦しいだろう。少し見わたせば、同じ項目についてわれわれの記事よりも優れた項目を Britannica に見つけることは、まれだけどまだ難しいことじゃない。でも常に難しくなり続けている。
 
 --思うに、Britannica に収録されていてわれわれが全くカバーしていない話題を見つけるのは、かなり難しくなっているだろう。まあちょっと見渡せば、同じ話題を扱っていてわれわれの記事よりも優れている数少ない記事を Britannica で見つけることは、いまでも難しいことじゃない。でもずいぶん難しくなったし、それはこれからも変わらないだろうね。
 ---くだけた表現を考えてみた。くだけすぎ? 
 
 So to answer your question directly, yes, there are constant efforts to get articles written on specific topics, and to flesh out areas that we haven't yet covered as well as we should.
 
 というわけで、質問に直接答えると、答えはイエス。特定の項目について記事を書いてもらうための取り組み、われわれがまだカバーしていない領域とカバーすべき領域を具体化するための取り組みは常になされている。
-<a name="Q6"></a>
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 **6) The constant bickering... - by Rageon
 6) 絶え間の無い論争... - by Rageon
 
 How is (and how will) the constant bickering between differing sides of the more controversial issues (abortion, religion, etc...) be addressed? Do you expect any changes to the current system, in which it seems the same pages get edited by the same people back and forth every day?
 
 物議を醸す問題(中絶、宗教など)について立場の異なる人たちの間で絶え間なく起こる論争をどのように解決していますか。またこれからどのようにするつもりですか。現在のシステムは、同じ人たちが同じページを修正してまた修正し返したりを繰り返すことができるシステムになっているようですが、変更を予定していますか。
 
 Jimmy Wales:
 
 In our community, we very strongly discourage that kind of bickering. One of the biggest social faux pas that one can commit is the dreaded "revert war". But humans are humans, and they will argue, and we have to understand that there will never be a process whereby we eliminate all of that.
 
 われわれのコミュニティでは、そのような議論を積極的にやめさせている。人が犯す社会的な過失として最も大きなものの一つは、嫌われている「堂々巡りの論争」だ。しかししょせん人間は人間で議論する生き物。すべての議論を排除する方法はこれから先もないということを理解する必要がある。
-<a name="Q7"></a>
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 **7) Getting people involved - by Anonymous Coward
 7) 人々を参加させること - by Anonymous Coward
 
 What methods have you found that work best for getting people not only involved in contributing, but also keeping them contributing to the Wiki?
 
 人々を Wiki にただ貢献してもらうだけではなく、貢献し続けてもらうために最も有効な方法は何ですか。
 
 Jimmy Wales:
 Love. It isn't very popular in technical circles to say a lot of mushy stuff about love, but frankly it's a very very important part of what holds our project together.
 
 I have always viewed the mission of Wikipedia to be much bigger than just creating a killer website. We're doing that of course, and having a lot of fun doing it, but a big part of what motivates us is our larger mission to affect the world in a positive way.
 
 It is my intention to get a copy of Wikipedia to every single person on the planet in their own language. It is my intention that free textbooks from our wikibooks project will be used to revolutionize education in developing countries by radically cutting the cost of content.
 
 Those kinds of big picture ideals make people very passionate about what we're doing. And it makes it possible for people to set aside a lot of personal differences and disputes of the kind that I talked about above, and just compromise to keep getting the work done.
 
 I frequently counsel people who are getting frustrated about an edit war to think about someone who lives without clean drinking water, without any proper means of education, and how our work might someday help that person. It puts flamewars into some perspective, I think.
 
 Imagine a world in which every single person on the planet is given free access to the sum of all human knowledge. That's what we're doing.
 
 Jimmy Wales:
 
 愛。技術者の世界で愛について甘っちょろいことをいろいろ言うのはあまり受けがよくないけれど、率直に言って愛こそプロジェクトをまとめていくのにとてもとても重要な部分だ。
 
 Wikipedia の使命は、ただ素晴らしいウェブサイトを制作することよりもはるかに大きいものだと常に考えてきた。もちろん素晴らしいサイトを制作しているし、制作を大いに楽しんでいるけど、われわれを動かす大きな要因は、建設的なやり方で世界に影響を及ぼすという、より大きな使命だ。
 
 ぼくがねらっているのは、Wikipedia のコピーを地球上のすべての個人に、彼らの言語で配布することだ。そして、Wikibooks プロジェクトから生まれたフリーの教科書が、内容のコストを根底から切り捨てることによって、発展途上国の教育に革命をもたらすように使われることだ。
 
 ---「our wikibooks project」と小文字になっているけど、(10)の回答でも「wikipedia」と小文字で書いていたりする。Wikipediaのプロジェクト名どおりに「Wikibooks(複数形)」でいいのでは(訳文変更済み)。
 
 このような大局的な理想を掲げると、われわれがやっていることを人々が熱烈に支持してくれるようになる。そして、個人的な違いや上で述べたような論争を棚上げすることができる。そして、仕事を進めるために妥協することを可能にする。
 
 編集合戦に苛立っている人々にぼくがしばしば助言するのは、きれいな飲み水なしで生きている人や、教育という適切な手段を知らない人について考えなさい、われわれの活動はいつかそのような人を助けることになるかもしれない、ということだ。そうすれば罵倒合戦が遠景に退くだろうと思って。
 
 世界中のすべての個人に、人間の知識の集積へのフリーなアクセスが与えられる世界を想像してほしい。それこそわれわれがしていることなんだ。
 
 --世界中のすべての個人に人間の知識の集積へのフリーなアクセスが与えられる、そんな世界を想像してほしい。それこそがわれわれのしていることなんだ。
 ---「想像することを世界中の人に望んでいる」ように読めてしまうので読点位置を調整。2文めの表現も微妙に変えてみた。
-<a name="Q8"></a>
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 **8) Advertisers, Spammers, Search Engines, oh my! - by RomSteady
 8) 広告業者、スパマー、サーチエンジン、ああ! - by RomSteady
 
 I like the concept of a wiki, but I'm a bit concerned about the current implementation.
 
 Right now, we are seeing several instances where crawlers are disrupting wikis, spammers are embedding wiki links to their sites to boost their Google rankings, and advertisers are placing ads in wikis until someone goes through and nukes them.
 
 Do you have any thoughts as to how wikis can be modified to prevent things like this in the future?
 
 私は wiki のコンセプトが好きですが、現在の実装について少々心配しています。
 
 現在、クローラーが wiki を混乱させており、スパマーが Google ランキングを上げるために Wiki に自サイトへのリンクを埋め込み、広告業者は誰かが読んで削除するまで Wiki に広告を設置している、といういくつかの例を私たちは目の当たりにしています。
 
 --誰かが通りかかり削除するまで広告業者が Wiki に広告を出したまま、
 
 将来このようなことを防ぐために wiki にどのような修正を加えることができると考えていますか。
 
 Jimmy Wales:
 
 Sure, I think it's pretty simple to solve problems like that. One of the first tricks I would try is to parse the wiki text that someone inputs to see if it contains an external link. If so, then only in those cases, require an answer to a captcha.
 
 Second step, keep editing wide open for everyone, but restrict the ability to post external links to people who are trusted by that community. Make it really easy for trusted users to extend the zone of trust, because you want to encourage participation.
 
 Basically what I think works in a wikis is to trust people to do the right thing, and trust them as much as you can possibly stand it, until it hurts your head and makes you scared for what they're going to break. Because that is what works.
 
 People are not fundamentally bad. It only takes the smallest of correctives to take care of that tiny minority that wants to disrupt the community.
 
 もちろん、そんな問題を解決するのは本当に簡単だと思っている。最初の仕掛けの一つは、外部へのリンクが含まれているかどうか、誰かが入力した Wiki テキストを解析すること。外部へのリンクが含まれていたら、その場合に限ってだけど、captcha の回答が必要だということにする。
 
 2番目のステップは、誰でも編集できるように門戸は広く開放しておくが、外部リンクを投稿する資格をコミュニティに信頼された人だけに制限すること。信頼されたユーザーが、信頼の領域を広げるのを本当に容易にしておくことが大事だ。なぜならば、参加を促したいのだから。
 
 基本的に Wiki でうまく機能するとぼくが考えているのは、正しいことをするために人々を信頼することと、耐えられる限り人を信頼すること、それによって頭を傷つけられたり、彼らが壊そうとしていることで恐れを覚えたりするまで、彼らを信頼することだ。なぜならば、これが機能するから。
 
 -- Wiki でうまく機能するとぼくが考えているのは基本的に、人々が正しく振舞うと信頼することと、耐えられる限り彼らを信頼することだ。それで頭を痛めたり彼らがぶち壊しにしないかと怯えさせられたりしない限りはね。なぜって、それでうまく機能しているもの。
 
 人は元来邪悪な存在じゃない。最小限の調整手段さえあれば、コミュニティを分断させたいと望むごくわずかの少数派をあしらうことができる。
-<a name="Q9"></a>
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 **9) Webservices ? Data Formats ? - by sh0rtie
 9) ウェブサービスは? データフォーマットは? - by sh0rtie
 
 Ever thought of offering alternative data access services other than HTML ? examples of other successful community driven sites such as IMDB [imdb.com] can be queried via email (in a structured way) and a huge number of applications are now built upon these capabilities alone, ever thought of offering up the data in alternative formats (XML/SOAP/TELNET/TXT etc etc) so clever programmers can create applications that could utilise the data in new and interesting ways ?
 
 HTML以外にもデータアクセスサービスの提供を考えたことがありますか。<a href="http://www.imdb.com/">IMDB</a>のような、他の成功を遂げているコミュニティベースのサイトでは、(構造化されたやり方で)Eメールでクエリーを送ることができるし、今ではこれらの機能に特化したアプリケーションも数多く存在します。データを他のフォーマット(XML/SOAP/TELNET/TXTなどなど)で提供することを考えたことはありますか。そうすれば、優れたプログラマーが、データを新しくて面白い方法で利用できるかもしれないアプリケーションを作り出せます。
 
 --データを他のフォーマット(XML/SOAP/TELNET/TXTなどなど)で提供することを考えたことはありますか。そうすれば、優れたプログラマーが、データを新しくて面白い方法で利用できるかもしれないアプリケーションを作り出せます。
 --優れたプログラマーがアプリケーションを作成できるように、他のフォーマット(XML/SOAP/TELNET/TXTなどなど)でのデータ提供を考えたことはありますか。そうすることで、データを新しくて面白い方法で利用できるようになるかも。
 ---「新しくて面白い方法で利用できるかもしれないアプリケーションを作り出せます」では、結局のところ可能なのか可能「かもしれない」なのかはっきりしない、ちょっと煮え切らない提案のように読めたので、変更案では文の分割位置を変更しました。「データを他のフォーマットで提供することを考えたことは」では「...を」がダブるので別表現を。
 
 Jimmy Wales:
 
 Yes, yes, yes. I am 100% all for it. Join wikitech-l, the technical mailing list, and ask about specifics, and we'd be thrilled to have more developers volunteering to help us get those kinds of things implemented quickly and correctly.
 
 うんうんうん。100%大賛成です。wikitech-l という技術に関するメーリングリストがあるので、参加して、仕様について質問してほしい。そうすれば、そういったものを迅速に正確に実装してくれる、より多くの開発者が有志として加わることにわくわくするだろうな。
 
 --われわれはそういったものを迅速かつ正確に実装しようとしているけど、そうするのを助けようと申し出てくれる開発者がさらに加わってくれたら最高だろうな。
 ---「われわれ」が「実装する」、「より多くの開発者」が「助けようと申し出る」という内容を訳出したが、読みにくい訳文になったので読点で2節に分けた。「and we'd be thrilled」の「and」については、「われわれとしても大歓迎だよ」と言い添えるための「単なるつなぎの言葉」と判断して、訳出していない。
-<a name="Q10"></a>
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 **10) China and Wiki - by Stargoat
 10) 中国とWiki - by Stargoat
 
 How do you feel about China's blocking of Wiki, and what effect, if any, do you think it'll have on the service that Wikipedia can and cannot provide to both the Chinese and the world community?
 
 中国が Wiki を遮断したことについてどう思いますか。またその効果があったとして、Wikipedia が中国人と世界のコミュニティ双方に提供できる、あるいはできないサービスに対してどういう効果を及ぼすと考えますか。
 
 Jimmy Wales:
 
 The block in China only lasted for a couple of days, until some administrators in the Chinese-language wikipedia appealed the ban.
 
 My thinking on that is two-fold. First, it's a huge embarassment for the censors if they block Wikipedia, because we are none of the things that they claim to want to censor. Censoring Wikipedia is an admission that it is unbiased factual information itself that frightens you. We are not political propaganda, we are not online gambling, we are not pr0n. We are an encyclopedia.
 
 Second, I consider it a moral imperative for our overall mission that we will not bend our principles of freedom, of the freedom of speech, of a commitment to inclusiveness and neutrality, to meet any possible demands of any government anywhere. We are a _free_ encyclopedia, with all that entails.
 
 中国での遮断が続いたのはほんの2〜3日間で、中国語版 Wikipedia の管理者が禁止令の存在を訴え出るまでのことだった。
 
 ぼくがこのことについて考えていることには2つの要素がある。まず最初に、Wikipedia を遮断するならば、それは検閲者にとって大きな恥です。なぜならばわれわれは彼らが検閲したいと主張するようなものではまったくないから。Wikipedia を検閲することは、偏向していない事実に基づく情報それ自体が検閲者を怯えさせているということを彼らが自認しているということだ。われわれは政治的プロパガンダではないし、オンラインギャンブルでもないし、ポルノでもない。百科事典なんだ。
 
 -- まず最初に、検閲者が Wikipedia を遮断するなら彼らは恥さらしもいいところだ。
 -- 一つめは、検閲者が Wikipedia を遮断するなら彼らは恥さらしもいいところ、ということだ。
 
 次に、どんな場所のどんな政府からの要求だろうと、それに応えて自由の原則・言論の自由の原則・包括性及び中立性の義務を曲げたりなどしないことは、われわれの使命全体にかかわる道徳的義務だと考えている。われわれは活動が引き起こす結果もひっくるめて、「自由な」百科事典なんだ。
-<a name="Q11"></a>
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 **11) One area Wikipedia seems to lack - by wcrowe
 11) Wikipedia に不足しているように見える分野 - by wcrowe
 
 Other encyclopedias cite sources for their work. Wikipedia does not seem to have a facility for this, and I have yet to see sources cited in any of the articles. Am I correct in my assumptions? Why aren't sources cited? It would add credibility to the project.
 
 他の百科事典は制作にあたって出典から引用をします。Wikipedia はこのための手段を持っていないようです。そして、記事中に出典が引用されているのを見たことがありません。私がこう考えているのは正しいでしょうか。なぜ出典を引用しないのですか。出典の引用はこのプロジェクトの信頼性を上げるでしょう。
 
 ---「cite sources」について。回答の頭で誤解とあるしwcrowe/Wales両氏で話がかみ合っているかよくわからんのですが、質問の文面から察するにwcrowe氏は「出典(であるリソースの書名や著者など)を表記すること」について問うているのではないかと思います。([[英語版:Cite_sources:http://en.wikipedia.org/wiki/Wikipedia:Cite_sources]] [[日本語版:引用元を明記する:http://ja.wikipedia.org/wiki/Wikipedia:%E5%BC%95%E7%94%A8%E5%85%83%E3%82%92%E6%98%8E%E8%A8%98%E3%81%99%E3%82%8B]])
 
 Jimmy Wales:
 
 I think you're mistaken. We do cite sources, about as much as most encyclopedias, I think. But I do agree with you that more sources is good, and there's no question that as we move forward towards a 1.0 stable release, one of our goals will be to provide more articles with more extensive information about "where to learn more", i.e. cite original research, etc., as much as we can.
 
 それは認識違いだと思う。われわれはだいたい他のほとんどの百科事典と同じくらい出典を現に引用していると思う。しかし、もっと出典があった方がいいという意見には同意する。われわれが1.0 stableリリースに向かって前進していく際に、目標の一つは、出来る限り「もっと学ぶにはどこに行けばいいか」、つまり、おおもとの研究からの引用などについてのより広範囲な情報を付加した項目をより多く提供することであるのは間違いない。 
-<a name="Q12"></a>
+
 **12) Money issues - by Achoi77
 12) 金銭問題 - by Achoi77
 
 Considering the fact that wikipedia has gotten bigger than ever, are there any real potential fears that the lack of a steady cash flow may cause the whole project to collapse? Has any (and what kind of) unfavorable contingency plans been considered (like ads) and outright rejected, only to be reconsidered again at a later time<!-- -->?
 
 Wikipedia がこれまでになく大きくなってきたという事実を踏まえると、安定した現金の不足がプロジェクト全体の崩壊を引き起こすかもしれないという潜在的な懸念はありますか。 何か(どんな種類の)都合の悪い臨時出費の予定を検討して(広告などのような)、完全に却下してから、結局後になってまた再考しちゃったりしたことはありますか。
 
 Jimmy Wales:
 
 Wikipedia has gotten bigger than ever, and keeping us in enough servers to keep performance where we want it is a topic constantly on our minds.
 
 But at the same time, I have every confidence that we'll be just fine. The thing is: everyone loves Wikipedia. When I asked the world for $20,000 last January, we raised nearly $50,000 in less than a week.
 
 We are currently investigating the possibility of grants, and we are also asking you, here, today, to consider visiting the project to find out how you can help, if that's something you're comfortable with doing.
 
 The question of advertising is discussed sometimes, but not really in the context of "will we need to accept ads to survive". The answer to that is clearly "no".
 
 The discussion about advertising is really more a question that asks: with this kind of traffic, and the kind of growth we are seeing, how much good could we do as a charitable institution if we decided to accept advertising. It would be very lucrative for the Wikimedia Foundation if the community decided to do it, because our cost structure is extremely extremely low compared to any traditional website.
 
 That money could be used to fund books and media centers in the developing world. Some of it could be used to purchase additional hardware, some could be used to support the development of free software that we use in our mission. The question that we may have to ask ourselves, from the comfort of our relatively wealthy Internet-connected world, is whether our discomfort and distaste for advertising intruding on the purity of Wikipedia is more important than that mission.
 
 But it's more complex than that, even, because in large part, our success so far is due to the purity of what we're doing. We might find that accepting ad money would cut us off from possible grant money. It's a complex question.
 
 But it is not a question that has to be answered for our continuing survival. We can keep going as we are now, with your help of course. :-)
 
 Know someone *other than your favorite political candidate* who'd make a great Slashdot interview guest? Please email Roblimo with the person's name and contact information.
 
 Wikipedia はこれまでになく大きくなったから、望む性能を保つのに十分なサーバーを維持することは、常に懸念材料としてある。
 
 しかし同時に、大丈夫だろうという絶対的な確信がある。その理由は、誰もが Wikipedia を愛しているということだ。今年の1月に2万ドルの募金を世界に呼びかけたときに、1週間足らずで5万ドル近くが集まった。
 
 われわれは今、補助金の可能性を探っているところで、記事を読んでくれている皆さんには、もし援助をすることで心が安まるとすれば、どういう形で援助が可能なのか見出してもらえるように、プロジェクト(のサイト)を訪れることを一考するように今日ここでお願いする次第だ。
 
 --現在われわれは助成についてあらゆる可能性を探っているところで、いまこの記事を読んでくれている皆さんにも一考をお願いする次第だ。面倒でなければ、プロジェクトを訪れてどういった支援ができるかを見出だしてはいただけないだろうか。
 ---原文の「the possibility of grants」という部分について。直前の段落で「一週間で5万ドル集まったこともあるし、大丈夫だろうという確信がある」ということを書いているので、この段落では「そういった金銭の将来性」または「(金銭以外もふくめた)助成全般の可能性」を調査している、と言いたいのではないだろうか。インタビュー読者へのお願いの内容もふまえ、上記のような変考案にした(原文には「あらゆる」という表現はない)。
 ---「if that's something you're comfortable with doing(それがあなたにとって快く引き受けられることならば)」→「面倒でなければ」と軽めの表現にしたが、ニュアンスが変わってしまったかもしれない。「doing」は「help」でなく「something」を指し、「that」は「to consider visiting the project to find out how you can help」全体を指していると思われる。
 
 広告についての質問はときどき議論に上るけれども、あまり「私達は生き残る為に広告を受け入れる必要があるのか」という話にはならない。この答えは明確に "no" だ。
 
 広告についての議論は、実際にはむしろ、現にこんなにトラフィックがあり、これほどの成長を目の当たりにしているのだから、広告を受け入れることに決めたら慈善的な組織としてどれだけのことができるようになるだろう、といった類いのものだ。われわれのコスト構造は従来のどんなウェブサイトと比べてもものすごーく低いから、もしコミュニティが広告を受け入れることに決めたら、Wikipedia Foundation に大きな富をもたらすだろう。
 
 そうしたらその金は発展途上国の書籍やメディアセンターに資金供与するために使うかもしれない。一部は追加のハードウェアを買うのに使うかもしれないし、一部はわれわれが使命を遂行するために用いるソフトウェアの開発費用を賄うのに使うかもしれない。われわれのように比較的裕福でインターネットにつながった世界の安楽な状態から、自らに対して問わなければならないことは、Wikipedia の純潔に侵入してくる広告に対して感じる不快感や嫌悪感は果たしてその使命よりも大事なものなのか、という問いだと思う。
 
 でも、ことはもっと複雑で、われわれのここまでの成功も、大体において活動の純粋性に負っているんだ。広告収入を受け入れれば、受けられる可能性のあった寄付を失うかもしれない。こみいった問いなんだ。
 
 でもそれは、生き延びるためにはどうしてもこの問いに答えなきゃいけない、といった種類の問いじゃない。今までどおりにやっていけばいいんだ。もちろん皆さんからの援助があればね。:-)
 
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